障害者に対する偏見や差別はあるか?
東京都練馬区の調査※1によれば、身体障害者の20.3%、知的障害者の44.1%が差別や偏見を受けていると感じています。また、民間の調査※2では、日常生活で「偏見や差別を受けた」と感じている障害者は59%に及んでいます。
初等、中等教育における障害理解教育では「広い心」、「寛容な心」などがその対処として語られてきました。逆に言えば、心の狭い人が障害者に対する偏見や差別的な態度をとるのでしょうか?三重大学の栗田季佳の研究によれば、どうやらそうではないようです。
なぜ、偏見や差別が生じるか?
栗田は、障害者に対する誤解や差別、偏見の要因について数々の論文や自身による実験から、いくつかの要因を明らかにしています。
①障害を健康の対極にあるものと捉えてしまう誤解
②障害者は自分への協力度合いが低いという決めつけ
③同種の趣向に仲間意識を持つ人の習性
④多数派に属したいと思う文化的価値観
他にも、
①ボランティアの経験、障害者と触れ合った経験などは、偏見や差別の解消に役立つか?
②「障害」表記の変更は、偏見や差別の解消に効果があるか?
③障害理解教育は、偏見や差別の解消に効果があるか?
④障害者に対するステレオタイプと偏見の関係
⑤平等価値を高めることで偏見が低減される実験
など、社会的包摂を実現する上で、数々の興味深い実験と考察が収められています。
- ※1 東京都練馬区 「練馬区障害者 基礎調査報告書」2020年(2021年8月25日閲覧)
https://www.city.nerima.tokyo.jp/kusei/tokei/shogai/0203kisotyosa.html株式会社 - ※2 ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所ウェブサイト
http://www.gp-sri.jp/report/detail031.html (2021年8月26日閲覧)
<参考文献>
栗田季佳/著『見えない偏見の科学』京都大学学術出版会 2018年
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